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~弁護士が解説する!絶対に抑えておくべき離婚のキホン(その3)~

2026年2月7日

~弁護士が解説する!絶対に抑えておくべき離婚のキホン(その3)~

 

だいぶ時間があきましたが、前回の続き(前回の投稿はこちら~弁護士が解説する!絶対に抑えておくべき離婚のキホン(その2の2)~ – 弁護士法人植田法律会計)からお話していきます。

 

「離婚調停でも話がまとまらなかった…」そんな時、次なるステージとして用意されているのが「離婚裁判」です。「裁判」と聞くと、テレビドラマのような厳しいイメージを持つかもしれませんが、実際のルールや流れを知っておくと、心の準備が整います。今回は、実務的なポイントを盛りだくさんで解説します!

第1 離婚裁判ってどんなの?

離婚調停はあくまで「話し合い」の場なので、裁判所が無理やり結論を出すことはありません。しかし、裁判と調停は別物です。 裁判所が法律の要件(離婚原因)があるかどうかをビシッと判断し、条件を満たしていれば「判決」として離婚を認めてくれる場所なのです。令和2年のデータになりますが、離婚全体における離婚裁判の割合は11.7%。意外と多いですよね。「離婚裁判ってどれくらい期間かかるの?」ってご相談よく聞かれます。だいたい1年はかかる長丁場と考えて、じっくり腰を据えて戦う姿勢が大切です。

 

第2 いきなり裁判はNG!「調停前置主義」のルール

「もう顔も見たくないし、最初から裁判で!」と思っても、実はそれはできません。まずは家庭裁判所で調停を申し立てなければならないという「調停前置主義」というルールがあるからです。まずは、調停の手続きで話合って解決を目指していくださいというのが法の建前なんです。調停と裁判は別の手続きですので、調停の記録がそのまま裁判に引き継がれることはなく、改めて裁判段階で調停時に出した証拠なども提出します。もっとも、調停での争いになった点、主張内容などは裁判の段階でもどうだったのか聞かれることが多いです。

 

第3 訴えの提起

裁判をスタートさせるには、まず「訴状」を家庭裁判所に提出します。

1 では、どこの裁判所に訴状をだすべきでしょうか?

→基本的には自分(原告)の住所地を管轄する家庭裁判所相手(被告)の住所地を管轄する家庭裁判所を選べます。なので、「調停は相手の近くの家裁(例えば東京家裁)でやったけど、裁判は自分の近くの家裁(例えば大阪家裁)でやりたい」というのもOKです!(どこの裁判所で離婚裁判を進めるかは、よく考えていただく必要があります)

2 次に訴状を提出するにあたって準備するものは何が必要でしょうか。

(1)訴状(あなたの主張をまとめた大事な書類)

(2)戸籍謄本(夫婦であることを証明します。)

(3)証拠書類:(年金分割の情報通知書、不動産の登記簿、源泉徴収票など)

(4)収入印紙&切手:訴状に印紙(請求する内容によって金額が変わります)を貼付け、郵便切手(訴状を相手におくるための切手)※金額は裁判所に聞けば教えてくれます。

(5)その他(事案ごとによる書類) 

 

第4 離婚原因

1 離婚原因

裁判で一番大事なのが、民法770条1項に定められた「離婚原因」です。不倫やDVなど具体的な理由とともに「離婚原因」が認められないと、裁判官は離婚を認めてくれません(司法(裁判所)が強制的に離婚を実現させるので、それなりの理由が求められます。)。

2 ここで法律上の離婚原因を見てみましょう。

民法770条1項

①配偶者に不貞な行為があったとき

②配偶者から悪意の遺棄されたとき

③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

(※「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という離婚原因がありましたが法改正により削除されております。)

これまで、私が関与した事案では、1号、2号、4号の該当事由がよく主張されるように思います。離婚についての具体的な理由(1号〜3号)が微妙な時は、4号「その他婚姻を継続し難い重大な事由」をセットで主張することが多いと思います。一つ一つの理由は小さくても、積み重なれば「もう夫婦の修復不能だよね」と認めてもらえるケースがあるからです。

 

第5 親権と「家裁調査官」の登場

離婚裁判では、離婚原因、慰謝料、財産分与、親権が大きく争われることが多いかと感じています。「親権」で揉めている場合には、家庭裁判所の家裁調査官という専門家が調査に入ります。家裁調査官は、裁判官の命令によって、親権者の指定、監護に関する調査を行い、調査報告書を作成します。この調査報告書は、実際に家を訪問して生活環境を見たり、学校での様子を確認したりします。お子さんから直接話を聞くこともあります(お子さんへの聞き取りには、お子さんの本音を聞くべく、親や代理人は立ち会えません。)。

  

第6 離婚裁判の終わり方(3つのゴール)

離婚裁判の幕引きには次の3つのパターンがあります。

1 判決:裁判官が「離婚を認める(認容)」か「認めない(棄却)」かを決めます。原告が勝訴し、確定したら、10日以内に原告だけで役所へ届出ができるようになります。

2 和解(わかい):裁判の途中で「この条件なら納得できる」と話し合いがつくことです。実務上、和解による幕引きが最も多いです。和解の段階になれば、裁判官からのある程度の心証(判決の元となる考え)も聞くことができますし、双方が譲歩し合って解決するのが家事事件に適しているといえます。

3 認諾(にんだく):相手が「わかりました、降参です。あなたの言う通りにします」と認めること(ただし、子供の親権やお金の話が含まれている場合は使えません。)。

 

第7 まとめ

いかがでしたでしょうか。ここまでお読みいただいて分かる通り、離婚裁判は非常にテクニカルな世界です。「どのタイミングでどの証拠を出すか?」「調査官の報告書にどう反論するか?」「負けないために4号(重大な事由)をどう主張するか?」。これらをたった一人で、しかも精神的にハードな状況で進めるのは、正直とても大変なことです。だからこそ、少しでも不安を感じたら、迷わず弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は、あなたの感情を法的な言葉に翻訳し、裁判官に伝わる確かな戦略を立てるパートナーです。手続きの漏れを防ぐだけでなく、「プロが味方にいる」という安心感が、新しい人生へ踏み出すための大きな支えになるはずです。もし「自分のケースはどうなるんだろう?」と少しでも思われたら、まずは一度、法律相談から始めてみませんか?